恋の胸騒ぎ

夜明け前のドアを開けた汝──本気で“風俗”を選んだ18歳の物語

あの日、汝はドアを開ける前に立ち止まっていた。
「本当に…私、ここで働けるんだろうか」──18歳の彼女。名もない一本の影が、店のエントランスに映っていた。

以前、17歳の頃。年齢をごまかしてキャバクラ、ガールズバーを転々としていた。でも、どこかで引っかかっていた。
“身分証の確認”が通らなかったあの瞬間を。本籍地記載の住民票かパスポート――どちらも持っていなかった17歳の自分。
「この世界、本気で稼ぎたいなら、まずは自分が“証明”されなきゃいけないんだ」
その時、汝は気づいた。“風俗”という舞台には、嘘ではない“年齢”と“身元”が求められていると。

それから1年。
汝は何度も求人フォームを眺めていた。
「恋の胸騒ぎに問い合わせたのも、1年前だった。「未経験でも大丈夫ですか？」──そんな冷やかし気味のメッセージを夜遅く、スマホで送った。

だが、汝は動いていた。
アクセス数、ＰＶ数、集客力。求人サイトの数字を読み込んでいた。「ここなら、本気で勝てるかもしれない」その直感だけを、ずっと心の奥に抱えていた。

そして先日。
18歳になったその手で、正式な応募フォームを送信した。「身分証明をお願いします。住民票orパスポートをご持参ください」恋の胸騒ぎからの返信に、汝の心臓が一瞬だけ速くなった。
“準備が、やっと整った”──汝は知っていた。

面接の日。
彼女は控えめに話し始めた。
「1年前、17歳の時に…年齢をごまかして応募をしました」その告白に、面接担当者の目が少しだけ優しくなった。「冷やかしでも構わない。機が熟して、働ける年齢になったなら、全然かまわない」その言葉に、彼女の肩の力が、そっと抜けた。

体験入店を終えて。
スタッフからこう聞かれた。
「次の出勤、どうしますか？」
その問いに、彼女は即座に答えた。
「明日も働きたいです」
その一言は、店側にとって“救い”のような瞬間だった。「この子は、本気だ」──そう感じさせる言葉。

そして、汝の物語はここから始まる。
“普通”だった自分。
“未経験”だった自分。
17歳でふらふらしていたあの頃の自分。

でも今、18歳。
身分を証明し、自分を認め、自分で選んだ舞台のドアを開けた。
汝のその“選択”が、未来を変える切符となる。

吾輩は知ってる。その“明日”を選んだ瞬間が、最強の一歩になるってことを。

X（Twitter）　@koimunaa　閲覧自由、いいね♡フォロー大歓迎♡